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場の、今を見、古に学び、先を考えます、申します

統計に傾倒―密集都市東京002―

 東京の近隣商店街やスーパーマーケットが三密になっていることをきっかけにした記事、「統計に傾倒」ー密集都市東京―続きの002です。統計ネタは多くなると思いますので、副題をつけました。

 

 東京都がStay Home期間に突入しました。東京都の買い物における三密回避のための策の一つが、買い物を三日に1度にする提案でしたね。感染拡大防止のためには、有効だとは思います、とりあえず申しますと。

 

 さて、東京都と大阪府の人口を見ていく前に、まず人口の統計についてのお勉強です。

 

 日本の人口統計では、国勢調査人口、住民基本台帳人口、推計人口という概念があります。国勢調査西暦で末尾0年と5年、つまり5年に一度、政府によって調べられて明らかになる統計調査で、現在そこに住んでいる人に対する調査で判明する人口です。アンケート形式で行われるため、大変な手間と費用がかかります。住民基本台帳とは、いわゆる住民票の人口です。市役所や町村役場では、日々人口の転出・転入を把握していますので、やろうと思えばいつでも算出できます。

 

 学生で住民票は実家にあります、という人がいます。扶養扱いにする必要とか、実家なんだからとか言うことで、大方家の事情で住民票は実家のままという場合が多いのですね。もし神戸学院大学の学生で、大学の周辺に住んでいて、住民票が実家の札幌市という人がいるとするならば、現住所は神戸市西区であり、住民票上の住所は札幌市ということになります。国勢調査では神戸市西区に住んでいることとなります。でも、住民票が必要と言うことになった場合には、実家の親に札幌市の区役所に交付してもらいに行ってもらうこととなります。成人式の案内も神戸市からは来ません。住民票がある札幌市役所から実家宛に送付されてくることでしょう。私の学生の頃、住民票は実家の札幌にありましたが、運転免許を取得するときに、住んでいた大阪府に移しました。それまでの私は、大阪府にいないことになっていました。住民票がない以上、住んでいた市は私の存在を把握していません。その市の人口には数えられていない人口だったのです。

 

 学生時代、国勢調査で町内会の人が下宿に来た記憶があります。住民票があろうがなかろうが、日本人だろうが外国人だろうが、一定期間以上居住している人を対象に行われるのが国勢調査です。いまそこに住んでい人の実態を把握する調査なのです。

 

 推計人口は、国勢調査国勢調査の間を埋めるために行われている人口推測結果とのことです。国勢調査の人口に基づいて、住民基本台帳人口の変化も参考にして、今現在これくらい住んでいるんとちがうか、と推測されている人口で、毎月1日に算出されて、都道府県、国でも集計されています。次のサイトに紹介があります。

 

 総務省統計局ホームページ「推計人口」

 https://www.stat.go.jp/data/jinsui/qa-1.html

 

 住民票人口は確実に把握できますが、いまその市町村に本当に住んでいる人口はわかりません。でも、住んでいる人のための対策を市町村がする必要が生じたとき、ずれていたらどうしますか?大学がないような地域の場合、学生世代の年代がそこにいないけども住民票は置いたままになっているケースが考えられ、住民基本台帳人口が国勢調査人口より多い可能性がありますよね。逆に、大学が集中する大都市、例えば京都市では、住民基本台帳人口が国勢調査人口より少ない可能性があります。そんな大都市で、不幸にも災害が起きたとします(仮の話です)。現場で対応にあたるのは市役所や町村役場の地方公務員たちです。緊急出動が発令され、災害体制で出動します。さて、どうでしょう、災害時、そこに何人が住んでいるかがわからないまま、避難所の準備、非常食の用意、できますでしょうか。とうていできませんよね。道路網の整備などの都市・農村の地域計画でも、実際そこに何人住んでいるのかを把握することが、最も基本的な作業になるのです。

 

 定義をおわかりいただけましたか。

  

 さて、2020年3月1日の推計人口が約1395万人の東京都、約882万人の大阪府。いつからこんなに人口が多かったのでしょうね。次回、遡ってみたいと思います。

 

 最後に一つ。東京都の買い物における三密回避のため、買い物を三日に1回にするという呼びかけについてです。フードデザート、食の砂漠という用語を思い出してください。フードデザートをテーマにした矢嶋組1期生の卒業研究があったことも、卒論始動時に聞いたことを思い出す人もいるかもしれません。さて、2期生より後の矢嶋組卒業生は、フードデザートを取り上げた農林水産業と食料についての講義を思い出してください。NHKクローズアップ現代の番組を、ビデオで見たことでしょう。

 

 2010年2月放送「“フードデザート”~広がる食の砂漠~」

 https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/2849/ 

 

 紹介された地方都市である水戸市在住の高齢女性の事例では、近所のスーパーマーケットが閉店したため、買い物先が遠くなりました。その結果、買い物の量を減らしていましたよね。今回心配なのは、一度にたくさんのものを買って持ち帰ることが困難な高齢者です。政治家には大局的観点が求められますが、災害時には細やかな対応が必要です。高齢化社会が進行する日本では高齢者への配慮はとくに重要でしょう、高齢者の投票率は高いのですから。当然そこまで策は打ってありますよね、小池知事。

 ついでに余計なことをもう1点。どんな高齢者でもおわかりになる言葉で策を述べられることを提案申し上げます。日本で公用語とされているのは日本語だと思うのですが、いかがでしょうか。

 

 

って、見てるわけねーよ!(はりせんぼん風)